これまで多くのファンや音楽愛好家・専門家たちが、梶浦サウンドの魅力についてさまざまに語ってきた。
ある人はそれを、「つかの間、現世を忘れ、異界をたゆたうような恍惚感だ」と言い、ある人は「原初の記憶を搔き立てられるような、ビート感溢れるリズムだ」と語り、またある人は「初めて聞いたはずなのに、郷愁を誘われるような調べ」あるいは(中略)
そうした梶浦サウンドは、いったいどこからやってくるのか。
幼いころからよく音楽に親しみ、自ら歌うことも楽しみながら、じっくりと聴く耳を養ってきたという梶浦さんだが、どのような音楽的「出会い」を経て現在に至るのか。魅惑の音の源泉を辿っていく。
引用:6,000曲の“パレード” 作曲家・梶浦由記 異才の流儀 / 君塚 匠
私の梶浦由記さんとの出会いは機動戦士ガンダムSEEDのエンディングテーマ「あんなに一緒だったのに」(See-Saw)。
主人公たちの過酷な運命に嘆きながらアニメを見た後に流れるこの曲がさらに哀愁を誘い、アニメの世界に感情移入しながら聞いていました。切なさMAXになるこの曲が大好きで歌詞も全部覚えてます。
梶浦由記さんのユニットSee-Sawのアルバムも買って、よく聞いていました。
キラ~ アスラン~T_T |
最近だと、TBSドラマ「アンチヒーロー」を見ていて、長谷川博己さん演じる主人公の暗い過去が見えた時に流れてきた音楽・・・すごく切なく心揺さぶられるこのメロディー・・・素敵だな。と思ってエンディングクレジットを見たら、梶浦由記さんの名前が!
アニメの音楽のイメージがあったので、ドラマの音楽をされていたことに驚き、その音楽を聴いてピンときた自分は梶浦さんのファンだなと驚きました。(笑)
不穏な雰囲気、美しい女性ボーカル…ぞくぞくしますね。 |
そんな感じで梶浦さんの作る音楽はよく聴いていたんですが、ご本人はメディアなどでお見かけしたことがなく、私にとっては謎に包まれたお方でした。
そんな時にたまたま見つけたこの本。
本書は梶浦由記さんへの長期密着取材を敢行したNHKBSのドキュメンタリーを出版化したもので、放送未公開部分や追加インタビューを加えた書籍です。
ドキュメンタリーはこちらから
あの素敵な音楽を創り出す天才はどうやって生まれたのか。どんな考えを持ちながら音楽制作をしているのか。
お仕事の裏側を覗かせてもらう気持ちでワクワクしながら読みました。
まず感じたのが誠実に仕事に向き合っている人。そして音楽の仕事を楽しんでいる人という印象です。
そして一緒に作品を作っている監督や歌手の人たちもストイックで自分の仕事を極めている人たちなんだろうなぁ、と感じました。プロの仕事の話は面白い。
音大出身ではないという意外な話もあったり。
こんなに長く音楽の仕事をされているから、学生の頃から専門的に学んでいた方なんだろうと勝手に思ってました。
その一方で幼少期には好きな本のイメージソングを作って歌っていたなど非凡さを感じるエピソードもあり、子供時代の過ごし方は、今に通じるところがあるのだろうな、と感じさせられます。
お仕事ごとに細かい解説をされている章もあるのですが、その中に「魔法少女まどか☆マギカ」の章があります。
作品を見たことがなくて、題名と絵柄からプリ〇ュア的な勧善懲悪の魔法少女ものだと思っていたんですが、どうやらちょっと違うようで・・。
梶浦さんの音楽が似合うようなダークファンタジーとのことだったので見てみたくなりました🙄
梶浦さんというプロの音楽家のお仕事の裏側が覗き見れて、パーソナルな部分も感じることができ、ますますファンになってしまうような一冊です。
最後にご本人が後継のためにできることは、朗らかに楽しそうにお仕事を語ることではないか、とおっしゃっていました。
その言葉に一読者の私も梶浦さんの言葉、仕事への向き合い方を見てとても楽しかったですし、元気をもらえて朗らかな気持ちになりました!とお伝えしたいです!