自分を裏切った人と一緒に暮らす物語 「代替伴侶」白石一文 

自分を裏切った人と一緒に暮らす物語 「代替伴侶」白石一文  おすすめの本
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あなたを裏切ったとそっくりのアンドロイドを手に入れたらどうしますか?

こんな疑問が頭に浮かぶような小説を読みました。

「代替伴侶」白石 一文 

あらすじ

物語の舞台は近未来。
人口が爆発的に増加したため、1組の夫婦に1人しか子供を持つことは許されません。
子供を増やすことを推奨されていないので、不妊治療を認めている国は少なく、一般的な夫婦の場合は自然妊娠以外での子作りはほとんどできない世界。

そのため夫婦のどちらかに「不妊症」が認められるとそれは決定的な離婚事由となりました。

そんな世界で、主人公の隼人は子供を作ることが難しいと診断されてしまいます。
そしてどうしても子供が欲しかった隼人の妻は、他の男性と子供を作り、出て行ってしまったのでした。

この世界では「生物学的な夫婦関係」がなによりも優先されるので、隼人に離婚を拒否する権利はありません。

とはいえ、伴侶を失い精神的に打撃を被った隼人にも使える法律がありました。
それは、元配偶者と同じ姿、同じ記憶を持ったアンドロイドを派遣してもらえるという「代替伴侶法」でした。

この法律を使い、隼人は元妻とほぼ同じと言っていいアンドロイドを手に入れるのでした。

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自分を裏切った人と一緒に暮らす

もしこんな風に自分を裏切った人と同じ姿をしたアンドロイドと一緒に暮らすことになったらどうするだろう?と考えてしまいました。

ちなみにアンドロイドは人間に危害を加えることができないようにプログラムされています。

となると・・・復讐したいな、というのが一番に出てきました。

自分を裏切ったことを責める、怒る、場合によっては暴力に訴えることも・・・。

それとも・・・アンドロイドに移された記憶は、配偶者を裏切る前までのものです。
なので、その頃の2人に戻ったようにラブラブで平穏に暮らすのもありかも。

最初は好き合って結婚したはずなので、それも選択肢にあるかもですね。

そもそもなぜそんなアンドロイドを欲しがるのでしょうか?

自分を裏切った人の顔なんて見たくもない!という心理になったらいらないですよね。

アンドロイドを欲しがる=その人に未練があるということなので、その気持ちが「愛」に傾くか「憎」に傾くかで結果が変わるような気がします。


もうひとつの自分の人生

アンドロイドが作られても本体の人間も生きています。

そのため、人生で「あっちの選択肢を選んでいたらどうなっていたのかな?」という生活がリアルにアンドロイドによって営まれています。

自分と同じ姿、同じ記憶のもうひとりの自分。

どんな生活をしているのか見たいような見たくないような・・・

もし同じ「自分」のはずなのに、自分よりはるかに成功して、幸せそうになっていたらちょっとショックかも。笑

この物語の中では本体とアンドロイドの生活が交互に語られる場面があり、
「2人の自分がいたらどうなるだろう・・・」という想像をしてしまいます。

「代替伴侶法」の運用方法など、世界観がすごく作りこまれていたので、同じ世界で他の物語もたくさん生まれそう。

状況が同じでも夫婦によって辿る道はずいぶん変わると思うので、ぜひシリーズの話が読んでみたいな、と思いました。

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